設立の趣旨
サンゴ礁は、熱帯・亜熱帯の海岸に、サンゴなどの動物の骨格が積み重なって造られた地形で、その上には海洋でもっとも多様な生物群集がすんでいます。 サンゴ礁は、その美しさだけでなく、種の多様性や熱帯における水産資源の確保、炭素循環などの点からその重要性が認識されるようになりました。一方で、気候変動や、熱帯・亜熱帯の海岸における急激な開発に伴って、サンゴ礁は破壊の危機にあることが警告されています。
サンゴ礁に棲息する多様な生物群集について理解するには、生物を取り巻く海洋の物理環境や、水質に関わる物質循環の理解が欠かせません。また、人々の生活や陸域の環境とも深く関わっています。そうした点から私たちは、この学会をできるだけ幅広い学際的なものにして行きたいと考えています。実際に、サンゴ礁学会員の専門分野も、生物、生態、水産、地質、地理、化学、物理、工学、民族学、人文科学など、きわめて多岐にわたっています。扱う対象も、サンゴ・サンゴ礁というスケールだけでなく、遺伝子といったミクロなスケールから地球というマクロなスケールまで様々です。また、研究だけでなく社会とのつながりも重要になってきています。
会員の所属も、大学、研究所ばかりでなく、民間企業、官庁、財団、NGO、ダイバー、サンゴ礁や環境に関心のある一般の方々など様々です。よく、「私なんかが学会に入ってもよいのでしょうか?」と聞かれるのですが、日本サンゴ礁学会は、まさに入った人たちがその分野と広がりを作っていくものだと考えています。