<公開シンポジウム①>
サンゴ礁学-サンゴ礁の未知なる世界へ挑む:研究の最前線-
日時:11月6日(日) 9:30~12:00
会場:沖縄県男女共同参画センター てぃるる 1階 ホール
主催:日本サンゴ礁学会編 「サンゴ礁学」
編集委員会
共催:新学術領域研究(文部科学省科学研究費補助金)「サンゴ礁学」 研究グループ
オーガナイザー: 鈴木 款・大葉英雄・土屋 誠・茅根 創
開催趣旨:1997年11月に日本サンゴ礁学会が設立されてから14年が経ちます.この間に,サンゴ礁に関する研究・調査・手法・知見等の多くのことが進歩しました.そこで,多くの人々にサンゴ礁研究の成果の最前線を届けたいという思いで,日本サンゴ礁学会編「サンゴ礁学-未知なる世界への招待-」(東海大学出版会)を企画し,出版しました.今までに,サンゴ礁やサンゴに関する多くの本や文献が出版されていますが,様々な分野の専門家が「サンゴ礁学の最前線」を体系的に一冊の本にまとめて出版するのは初めてです.これらの研究の最前線を支えている一つは,文部科学省科学研究費補助金:新学術領域研究「サンゴ礁学」です.本シンポジウムは,学会編集本「サンゴ礁学-未知なる世界への招待-」の出版記念と,新学術領域研究「サンゴ礁学」の成果から,最近の研究の最前線を紹介します.
プログラム:
総合司会:浪崎直子(国立環境研究所)
9:30-9:35
「サンゴ礁学」の本と新学術領域「サンゴ礁学」の紹介
大葉英雄(東京海洋大学)
9:35-10:00 S-1-01 サンゴ礁のなりたち
井龍康文(名古屋大学)
10:00-10:25 S-1-02 サンゴ礁環境のダイナミクス
灘岡和夫(東京工業大学)
10:25-10:50 S-1-03 サンゴの生活史と共生
日高道雄(琉球大学)
10:50-11:15 S-1-04 サンゴを脅かす生きものたち
岡地 賢((有)コーラルクエスト)
11:15-11:40 S-1-05 サンゴ礁の価値を評価する
豊島淳子(東京工業大学)・
○土屋 誠(琉球大学)
11:40-12:00 総合討論
司会: 鈴木 款(静岡大学)
パネラー: 井龍康文,灘岡和夫,日高道雄,岡地 賢,土屋 誠,茅根 創(東京大学)
<公開シンポジウム②>
めざせ!ちゅら海―島人が取り組むサンゴ礁の保全・再生―
日時:11月6日(日)14:00~17:00
会場:沖縄県市町村自治会館 ホール
主催:日本サンゴ礁学会・沖縄県
共催:沖縄県サンゴ礁保全推進協議会
コーディネーター:中野義勝(琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設)
開催趣旨:日本サンゴ礁学会は学会創設当時からサンゴ礁の保全に関する議論を展開して参りました.特に創設2年目には世界規模の白化現象が起こり,保全に関する議論は極めて活発なものになりました.これは国際サンゴ礁学会や,アジア太平洋サンゴ礁学会においても同様です.
沖縄県もまた多様な取り組みを実施してきましたが,この度,新たに沖縄県サンゴ礁保全再生事業を進めることになりました.特に移植に関する話題を主たるテーマに取り上げ,豊かなサンゴ礁生態系の保全と再生を推進することを目指しています.
沖縄では,ニライカナイ信仰に見られるように海を敬うとともに,身近な生活の場としてサンゴ礁を大切に受け継いできました.生活文化の都市化とともに,島と島の交通は一息で海を越え,生活にサンゴ礁を感じることも減りました.一見,美しく見えるサンゴ礁は大きな変遷の時を迎え,危機的でさえあります.島に住む人として,今あらためて海やサンゴ礁を愛おしみ,次世代に向けて育む端緒を求めて,様々な取り組みの様子を通して考えてみたいと思います.
本シンポジウムでは第一部で移植に関わる話題をお話しいただきます.また第二部ではどのような保全活動をすべきか,どのような地域作りをすべきか,等のテーマについて多様な立場の方々から話題を提供していただきます.
移植については様々な意見や方法があります.また保全活動についても多様なアプローチがあります.しかしながら,サンゴ礁を保全したい,あるいは再生したいという気持ちは同じであることは疑う余地がありません.今後,さまざまな立場の皆さんがご一緒に議論し,連携体制を構築することが極めて重要です.私たちはこのシンポジウムをサンゴ礁の保全再生についてオール沖縄で議論する第一歩にしたいと考えています.
プログラム:
開催趣旨説明: 土屋 誠(日本サンゴ礁学会 会長)
第一部(沖縄県におけるサンゴ礁の保全再生活動)
「サンゴ礁保全再生事業―サンゴ礁を育むちゅら海の再生に向けて―」
富永千尋(沖縄県環境生活部自然保護課)
沖縄県では,2010年度から7年間の計画で,恩納海域と慶良間海域において,サンゴ礁再生に関する調査研究やサンゴの移植事業を進め,合わせて3ヘクタールのサンゴ群集の再生を図る事業を行う.その事業概要を紹介する.
「みんなで取り組むサンゴ礁の保全を目指して」西平守孝(海洋博記念財団総合研究所)
保全活動,わけても移植にもいろいろな取り組みがあることと継続的な草の根的取り組みの広がりが重要であることをまず述べる.現在県内でそのことを阻害する状況があるが,それが克服できれば,技術的にも,取り組み方にも,それが十分可能であることを,これまでの研究・活動の成果を示して述べる.
「読谷地域での移植実践活動の課題と展望」金城浩二(海の種)
サンゴ礁保全の実践として,個人レベルの移植から企業活動としての移植事業までへの展開の過程と,読谷漁協と取り組む小規模MPA(海洋保護区)設定への取り組みを紹介し,私的活動の課題と今後のあり方について考える.
「石西礁湖におけるサンゴ群集再生の取組み」柴田泰邦(環境省那覇自然環境事務所)
石西礁湖では自然再生協議会を中心にサンゴ再生の様々な取組みが進められており,この一環として環境省ではサンゴ群集修復などの事業を実施している.着床具を用いた有性生殖法によるサンゴ移植事業において,平成22(2010)年に移植したサンゴの産卵がはじめて確認された.
「移植への取り組みの考え方」 大森 信(阿嘉島臨海研究所)
1.汚れた海ではサンゴは育たない.2.サンゴを植えればさんご礁ができるものではない.3.安易なサンゴ断片移植活動は技術の進歩につながらない.以上3点について述べる.
第二部(保全と将来像〜かなさんどぉ,サンゴ礁〜)
「人・社会・環境にやさしい村づくり」 比嘉義視(恩納村漁業協同組合)
漁業は海の恵みを受けて成り立つ産業です.恩納村では,海域の環境・生態系を保全するため,水質保全対策,赤土流出防止対策,オニヒトデ除去に取り組んできた.また,白化現象等により失われたサンゴを早期に回復するため,サンゴの養殖や移植を村民や関係者と連携して行っている.
「河川海域における水質と陸源負荷の影響」仲宗根一哉(沖縄県衛生環境研究所)
汚水処理人口普及率の上昇と事業所排水や畜舎排水に係る法的規制により,沖縄の河川海域における水質は,BODやCODを水質指標にすると現在はかなり改善している.その一方,栄養塩の影響はサンゴ礁海域における新たな水質問題として顕在化してきている.貧栄養のサンゴ礁海域の健全な水質環境について考える.
「サンゴ礁の環境保全教育の学校現場でのあり方」 大城 勝(名護市立名護小学校)
本校は,総合的な学習の時間にリーフ探検やイノー探検などの自然体験学習を取り入れている.子ども達が直接海に触れ,珊瑚礁やそこに暮らす生き物等について調べる活動から,環境問題と保全の必要性について考える.
「沖縄観光を支えるサンゴ礁の魅力と保全」下地芳郎(沖縄県文化観光スポーツ部)
沖縄県の観光は,豊かな自然環境,島々の魅力,独自の文化などを観光資源として大きく発展してきました.特に,サンゴ礁に囲まれた美しい海は世界中の観光客を惹きつけています.沖縄県では,自然環境との共生が図られた“エコリゾートアイランド”の実現を目指し,エコツーリズムの推進や環境保全事業などを実施しているほか,観光業界の環境保全に対する取り組みを支援しています.
第三部 総合討論
<自由集会> (Mini workshop)
自由集会1Hybridization or
reproductive isolation of high latitude scleractinian corals and their
implication for environmental change
オーガナイザー (Organizers): 目崎拓真 (黒潮生物研究所), Shashank Keshavmurthy (Academia Sinica), Allen Chen (Academia Sinica)
日時 (Date):3 November, Thursday(11月3日(木)) 18:00~20:00
会場 (Venue): Meeting Room #3, 2nd Floor, Tiruru(てぃるる 2階 会議室3)
概要 (Abstract): Hybridization is proposed as an important source of evolutionary
novelty in broadcast spawning reef-building corals, and has been hypothesised
to be more frequent at the periphery of species’ ranges and in marginal
habitats. Therefore, hybridization is suggested to facilitate Indo-Pacific
corals to expand their ranges and adapt to changing environments. In this
workshop, we discuss the current available data on reproductive behavior,
crossing experiments, and molecular data on high latitude corals and propose
the future research direction.
自由集会2:石西礁湖は再生できるのか?
オーガナイザー:木村 匡((財)自然環境研究センター)
日時:11月4日(金) 18:30~20:30
会場:てぃるる 2階 会議室1
概要:ミドリイシ類の新規加入が広範囲にわたって観察され,再生の兆しが見られる石西礁湖において,今後これらの群集を健全に維持するために,我々に何が出来るか,何をすべきかについて,様々な考え方の人々と議論したい.
自由集会3:サンゴの環境変化に対する順応・適応機構について考えるーゲノム(遺伝子)から個体(群体),集団までー
オーガナイザー:井口 亮(琉球大学熱帯生物圏研究センター)
日時:11月4日(金) 18:30~20:30
会場:てぃるる 2階 会議室2
概要:サンゴを対象とした,ゲノム(遺伝子)から個体(群体),集団までの幅広い研究分野の若手研究者を集い,サンゴの環境変化に対する順応・適応機構に関する最新の情報を紹介してもらいつつ,分野をまたがった研究の方向性について議論します.
自由集会4:あなたの研究が役に立ちます!―地域と協働する研究実践事例―
オーガナイザー:権田雅之(WWFジャパン)
日時:11月4日(金) 18:30~20:30
会場:てぃるる 2階 会議室3
概要:久米島応援プロジェクトの取り組みやそれに参画する研究者から各取り組み内容を紹介するとともに、研究者による地域づくりと保全への貢献モデルが地域で継続して活用され効果をもたらす事例として、その認知と普及を計る
自由集会5:サンゴ礁保全からみたサンゴ群集調査の価値とあり方
オーガナイザー:サンゴ礁保全委員会(委員長:中野義勝・琉球大学熱帯生物圏研究センター)
日時:11月4日(金) 18:30~20:30
会場:てぃるる 1階 ホール
概要:サンゴ礁保全について,サンゴ群集についての情報は不可欠であるが,利用する立場と伝える立場によって期待する意図が違うことがある.このことをお互いに理解することで必要十分な調査が成り立つものと思われる.このような観点からの活溌な議論を持ちたいと思います.
調査安全講習会について
日時:11月4日(金) 14:00 ~ 15:00
会場:沖縄県男女共同参画センター てぃるる 1階 ホール
主催:日本サンゴ礁学会 調査安全委員会
開催趣旨:サンゴの調査研究を行ううえでダイビングが必要な場合が多々あります.安全なダイビングを行なうための基礎知識は,自身で潜水を行なう場合,学生を伴う場合,学生単独の場合はもちろん,業者に依頼する場合でも大切です.安全の指針は潜水士免許証(国家試験)や民間諸団体のダイビング認定証(C-カード)を得た際の教材などに記載されていますが,必ずしも調査ダイビングにはそぐわない面もあります.ダイビングでは,ちょっとした配慮で事故の危険性を減らすことができます.一方,突然の減圧症や事故にあうこともあります.安全委員会では,ダイビングの安全性は基礎知識の再認識や安全講習(実技)の繰り返しによって高められると考えています.今回の講習会は,安全な潜水のための留意点,減圧症治療の医療現場,大学の潜水安全基準が強化される可能性,の3点をテーマに開催します
講習内容:
岡本峰雄(調査安全委員会委員長・東京海洋大学)(10分)
「潜水調査における安全対策の実際」
茅根 創(東京大学)(10分)
「東京大学における潜水調査規約の紹介」
小濱正博(北部地区医師会病院)
「潜水病の治療と実態(仮)」(30分)
質疑応答 (10分)
<NPOポスターコーナー(出展団体募集)>
l 学会の社会連携を推進するため、サンゴ礁に関する活動を行うNPO(非営利団体・任意団体も歓迎)のポスターコーナーを設置します。出展団体から1名のみ参加費を無料とします。
日本サンゴ礁学会では、学会の社会連携を推進するため、11 月3~
6
日に沖縄県那覇市で開催される第14回大会にてNPOポスターコーナーを設置します。皆様のサンゴ礁に関する活動を学会員にご紹介ください。日ごろ学会に接点がないという方々にも気軽に参加いただくため、出展団体から1名のみ参加費無料といたします。11月6日(日)は公開シンポジウム(無料)を開催しますので、合わせてご参加をお待ちしております。
【展示期間】 11月4日午前から6日午前までとなります。
※活動紹介コアタイムは4日と5日の13~14時を予定しています。
※必ずしも初日から展示する必要はありません。希望日のみの展示も可能です。希望日がある場合には、
参加申込フォーム(下記参照)の備考欄に希望展示日程をご記入ください。
【会場】 沖縄県那覇市「沖縄県男女共同参画センター てぃるる」日本サンゴ礁学会第14回大会 ポスター会場内
地図:http://www.tiruru.or.jp/?page_id=31
【活動紹介コアタイム】
11月4日と5日の13~14時(予定)をNPOポスターコーナーの活動紹介コアタイムとしますので、この時間帯にポスターの前で来場者に活動をご紹介ください。会場に来場できない場合には、ポスター展示だけの参加もご相談に応じます。
【参加申込・締切】
日本サンゴ礁学会Web(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jcrs/index.html)の第14回大会開催情報にある「参加・発表の申し込みフォーム」(Excelファイル)に必要事項をご記入の上、9月30日(金)までに大会実行委員会までE-mailでお申し込み下さい。備考欄に「NPOポスターコーナー出展」と明記ください。なお、募集件数(10件程度)に達し次第受付終了とさせていただきますので、ご了承ください。
【参加費】出展団体から1名のみ参加費無料とします。ただし、無料対象者は非学会員に限ります。
【要旨について】
学会では要旨集を配布します。掲載を希望される場合のみ、9月30日(金)
までに要旨を大会実行委員会へお送りください。要旨作成の詳細は、一般発表と同様になりますので、学会Web内大会情報の要旨作成要項をご覧ください。
【ポスターについて】
ポスターパネルの大きさは約180cm(縦)×90cm(横)を予定しています。この範囲に収まるようにポスターを作成して下さい。
ご不明な点がございましたら、お気軽に大会実行委員会までご連絡下さい。
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